演出家

ジェニー・シーレイ

演出家。身体障害のあるプロの俳優やスタッフによる英国の劇団、グレイアイ・シアター・カンパニーの芸術監督。手話と音声描写を効果的に使う、刺激的で革新的な作品を創作、英国やヨーロッパで高い評価を得ている。2007年には、日本の障害者や俳優とワークショップや作品づくりを行い、シアタートラムで「血の婚礼」を発表。高い芸術性と誰もが楽しめる演出が話題となった。2009年、大英帝国勲章MBE(第5位)授章。2012年のロンドン・オリンピック・パラリンピック大会関連文化プログラム「Unlimited」のアーティスティックアドバイザー、パラリンピックのオープニングセレモニーの共同アーティスティックディレクターを務める。

 

 

 

 

<グレイアイ・シアター・カンパニー >


グレイアイ・シアター・カンパニー(Graeae Theatre Company)は、障害のある人たちによるプロ劇団として、英国で最も先駆的な存在です。

国の芸術振興を担当する機関であるアーツカウンシル(英国芸術評議会)をはじめ、様々な基金などからも継続的な助成を受けてその活動を行っています。

2009年には、220万ポンドをかけて造られた完全バリアフリーのオフィスとリハーサルスペースを持ち、その活動の幅をさらに広げています。

 

 

劇団の設立は1980年。ネイビル・シャバンという障害のある男性と、彼の演劇の先生であったリチャード・トムリンソンが創設者です。車いす利用者であったネイビルは、この劇団を設立することによって、障害のある人がプロとして演劇に携わるための道を開きました。

 

グレイアイは、以下のような使命を持って活動しています。

・ 国内外の主要な劇場に認められる革新的な演劇を創ること。

・ プロフェッショナルのろう者や障害のある演出家、俳優、劇作家、作曲家、舞台美術や衣装デザイナー、照明デザイナー、舞台監督などの持つスキルや才能を証明すること。

・ ろう者や障害のある人たちに、質の高い舞台づくりのトレーニングを提供すること。

・ 若い世代の障害のある人たちが自信をもてるような、さまざまな教育環境を整え、ポジティブなロールモデルとなること。

・ 演劇の実践を通して、障害のない若者や学生に、様々な人たちにとってのアクセスとコミュニケーションについて、学んでもらうこと。

・ 演劇を学ぶ障害のない学生や若い演出家たちに、どのように彼らの作品をよりアクセスしやすくできるかともに考えること。

・ プロの演出家たちともに、アクセスできる手法の実践を広めていくこと。

・ 演劇の創り手としても、観客としても、平等な権利を主張していくこと。

・ 障害のある人々についての、ネガティブな用語や言葉遣いを変えていくこと。

 

さらに、グレイアイは、障害に関する社会的なモデルをつくる役割も果たしています。ろう者や障害のある人たちも、他の人たち同じように、経済、政治、文化といった社会環境の中にあるのだということへの理解を広げ、対等に参加し、アクセスする権利を持つことをその活動全体を通して示しています。

 

また、児童や学生向けのワークショップなどによる教育普及活動や、プロを目指す障害のある人たち対象のコースやプログラムを通じた新しい才能の育成、ロンドンの有名なドラマスクール4校と連携し、その授業を障害のある生徒が受けられるようにするサポート、障害のある若者がオーディションやドラマスクールを受験するためのサポートなども行っています。

 

劇団サイト http://www.graeae.org/

 

<最近の主な作品紹介> (演出は全てジェニー・シーレイ)

 

The Iron Man』テッド・ヒューズ 2011年

英国では有名な児童向けのお話を、巨大なロボット型パペットを用い、大人も子どもも楽しめる野外劇として上演。各地のフェスティバルで、数々の賞を受賞。

※下記のサイトから動画が観られます。

http://www.graeae.org/productions/the-iron-man/

 

The Garden』アレクサンダー・ブルマー 2010年

オーストラリアの大道芸パフォーマンスカンパニー「ストレンジ・フルーツ」(六本木ヒルズや静岡大道芸ワールドカップで公演)との共同プロダクション。地上5mのポールの上で、グレイアイの俳優たちが演じる野外劇。日本人のろう者のダンサー南村千里が参加。

※下記のサイトから動画が観られます。

http://www.graeae.org/productions/the-garden/

 

Reasons to be Cheerful』ポール・シレット 2010年 

ジェニー・シーレイ演出による初の音楽劇。ロンドンらしく少し懐かしいサウンドのロックミュージカル仕立て。

 

Blasted』サラ・ケイン 2006年〜2007年 

イギリス国内ツアーの後ロンドン公演のチケットが完売となった。評論家からも高い評価を得る